
ベートーベンの交響曲第9番の第4楽章終了と同時に、新年を迎えました。
大晦日から元日にかけて開かれるコンサートを、一般的に「ジルヴェスター・コンサート」と呼ぶんですが、ローマ教皇ジルヴェスター一世の命日が大晦日だったことからドイツ語で大晦日のことを「ジルヴェスター」というようです。
新潟でジルヴェスター・コンサートが開かれるのは2000年に続いて2回目、とのこと。コンサートの途中で司会者から「前回もお出でになった方は?」と問いかけがあったんですが、およそ半数の方が手を挙げていたようです。リピーターなんですね(笑)。できれば毎年やって欲しい企画なんですが、やはり新潟のような地方都市では難しいんでしょうかね・・・。
で、もちろんコンサートも楽しかったんですが、コンサート前にちょっとしたエピソードがあったので。
当日、西堀で遅めの夕食を済ませ、会場のりゅーとぴあに向かって夫と歩いていると、うしろから「スミマセーン!」と大柄の若い白人女性に話しかけられました。曰く、「トキメッセハドコデスカ?」と。西堀から朱鷺メッセまで歩いていくつもりかと思い、遠いからタクシーの方がいいですよ、などと英語で話すと、何となく困惑している様子。よくよく話を聞くと、「コンサートホールに行きたい」らしい(もちろんパチンコ店ではない模様)。
大晦日にコンサートといったらジルヴェスターコンサートしかあるまいと思い、
Are you going to “Silvester Concert” ?
と聞いたら、返ってきた答えが「ダー!」。
「ダー」?
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猪木ではありません。
ロシア語でした。
我々も同じコンサートに行くことを告げ、一緒に会場まで歩いていくことにしました。
道すがら話を聞くと、仕事の関係で9月に日本にきて、1?2年滞在予定とのこと。モスクワ出身で、日本の物価は高い、航空運賃も高い、てなことをロシア語まじりの英語でしゃべってました。日本語はまだ、ほんの片言しかしゃべれないみたいでした(「スミマセーン」とか)。英語も流暢というほどでなく、そのおかげでウチらでもなんとか会話が成り立ったような次第。どっちもどっち、って感じですか(苦笑)。
で、10分ちょっとでりゅーとぴあに到着したのはいいんだけど、「チケットはどこで買えますか?」ときました。チケット買ってないのかよ・・・_| ̄|○
人気のコンサートなので当日券はないかもしれない、と伝えつつ、とりあえずチケット売り場に行ってみると「当日券あります」の貼り紙が。よかったー!
それでも、残っている券は2枚しかなく、しかも彼女の想定した金額をかなりオーバーしてる模様。だいぶ迷った様子でしたが、結局、チケットを購入して無事コンサートを聴けることになりました。めでたし、めでたし。
それにしてもこの人、チケットもなく、会場の場所も正確に分からず、しかも言葉もろくに通じないと言うのに、雪の大晦日の夜にたった一人、異国の地で、音楽を聴きに行こうとしていたんですねえ・・・。そのことに心を動かされました。なんでも、駅でポスターを見てこのコンサートに興味を持ったのだとか。
音楽は万国共通の言語、とよく言いますけど、言葉の通じない国にいると、自分の好きな音楽に身を包まれるのは本当に心安らぐものです。音楽への感動そのものもありますけど、その音楽を介して、その場にいる人たちと感動を共有することができて、なんとなく一体感のようなものを味わうことができる気がします。
ロシアならクラシック音楽の本場(という言い方もヘンですが)。そのロシアからやってきた彼女が、日本でコンサートを聴いてどんなふうに感じたか分かりませんけど、東京交響楽団+二期会+秋山和慶というすばらしいキャストの熱演を、堪能してくれたのだったら嬉しいな。
にいがたジルヴェスターコンサート2004の様子はこちらに詳しく載っています。