昨日、見てきました。新潟シネウインドでの最終上映日、なんとかすべり込みで間に合った。
この映画だけで高田渡が何者なのか知るのは難しいかもしれないけれど、案外この映画だけで高田渡が好きになる人もいるのかも・・・。
高田渡と言えば、「自衛隊に入ろう」が超有名だと思いますが、実は「自衛隊に入ろう」という歌自体知らない人が多くなっているのかもしれませんねえ。
10年くらい前、フォークソングがすでに懐メロ扱いされるようになってきた時期、NHKのBSで「フォークソング大全集」みたいな特集番組がありまして、それに高田渡も出演していました。出演していた、というよりは、南こうせつが歌ったりしゃべったりしているスタジオの片隅で、酔っぱらってウトウトしていたような記憶が・・・。まあ、ワタルさん的にはそれがデフォルトみたいですが(笑)
その様子があまりにリアルというか、70年代反戦フォーク時代の面影はどこへやら、どう見てもアル中のオッサンにしか見えなくて、それ以降私にとって高田渡は、妙に気になる存在になったのでした。
で、昨年春に、ドキュメンタリー映画「タカダワタル的」が公開されたわけだけど、これに関連して、またまたNHKで特集番組がありました。
「フォークであること?高田渡と高石ともや」。
これはね、結構おもしろい番組でしたよ。いろいろな意味で対照的な二人のフォークシンガー、高田渡と高石ともやの「歌」に対する考え方を、当時の映像や歌を交えながら明らかにしていくわけですが、熱く熱く(ウザいほど)自分を語る高石ともやと、淡々と日常を暮らす高田渡の、そのコントラストの激しいことw。
この番組の中で語られる高田渡の生い立ちは、なかなか凄まじい。4畳半を上下に仕切った貸間に、日雇い労働の父と兄弟の5人で暮らしていたという極貧の子供時代。
大学生の高石と、印刷所の文選工として働きながら夜間高校に通う高田。
日比谷野音のフォーク集会のステージ上で「商業主義だ!」とフォークゲリラの若者に糾弾される高石と、そのフォークゲリラの連中のことを「あのカッコイイ エリートさん達」と皮肉り「何をぶっさすかはわからない、何しろ相手はフォークだから」と揶揄する高田渡。
そんなこんなで「いやだなぁ?やめたいなぁ?なんて思いながら35年」(w)歌い続けてる高田渡。
この人の歌は、ちっとも古くならないところがスゴイ。もともと古い詞にメロディーをつけて歌ってるのに、さらに何年歌っても全然古くならない。
「値上げの歌」は、「値上げは全然考えぬ」から「値上げをするとしても今ではない」、「値上げはやむを得ないかもしれない」、そして最後の「値上げに踏み切ろう」に至るまでの、首相答弁の変遷のような歌詞が秀逸なんですが、この歌の「値上げ」の部分はたとえば最近なら「イラク派兵」とか「憲法改正」とかに替えても歌える。ものごとの本質を突いてるからなんでしょうね。
で、映画の方ですが、映画ではそんな解説やナレーションもなく、ただただ高田渡のコンサートと日常を映すのみで、それはそれで味わい深い(高田渡自身が愛すべきキャラの味わい深い人なのでw)わけですが、こんな感想を持つ人もいるようです。
最近のライブの様子と飲んでるところを延々と1時間映して終わりで単なる音楽DVDみたいな内容で、結局高田渡が何者なのか全くわかりませんでした。
わはは。そう言われると身も蓋もないざんすw
何者かわかんないけど、酒を愛し、歌を歌い、仲間に囲まれ下町に暮らす、貧乏そうだけどとってもシアワセそうなオッサンのお伽話のような物語。ってことでもいいんでねえの?
ところで、映画の最後に出演者一覧が字幕で流れるわけですが、そこに「山崎ハコ」の名を発見!
どの場面にでていたのか全然分かりませんでしたので、どなたかご存じでしたら教えてください。よろすく。