捨て子養育院美術館 下半身を布で巻かれた幼児 ヴェッキオ宮の五百人広間 ウフィツィ美術館の回廊と人混み 道には売り物の絵が広げられている ウフィツィ美術館の入場券 夜のドゥオモ(大聖堂) | 9/18 | 狭い食堂で、クロワッサンにコーヒーの朝食。 今日はまず、「捨て子養育院美術館」へ行く。15世紀の建築で、ヨーロッパ最古の孤児院とのことだが、現在でも建物の一部がユネスコの事務所になっている。二階が美術館になっていて、聖母子像などが数多くあった。興味深かった展示品は、孤児が身につけていたという「目印」。子供をここに預ける際、親は将来の再会を願って、子供の衣服に、二つに割ったメダルの片割れなどの「目印」をしのばせたんだって。メダルの実物やら、手縫いのお守り袋みたいなものなどが展示してあった。ふと、TVで見た中国残留孤児の方の肉親の手がかりの品々のことを思い出した・・・。 柱廊のアーチ部分にはメダイヨンがはめ込まれている。目に止まるのは、下半身を布でグルグル巻きにされた幼子像。なんでも、中世には本当にこうやって子育てをしたらしい・・・。上半身まで布巻きにされた姿の木彫り模様もあって、なんだかビックリ。なんで、こんな子育てをしたんだかねえ。 次にヴェッキオ宮に行く。フィレンツェ共和国の政庁だったところで、一部は今もフィレンツェの市役所として使われている。ミケランジェロの彫刻(本物!)が置かれた「五百人広間」では、実際に記者会見のようなものが行われていた。内部はとても広く、たくさんの部屋があり、見どころも多かった。 広場のリストランテで昼食をとり、いよいよウフィツィ美術館見学のための列に並ぶ。列は、美術館の入り口から始まってぐるりと反対側の回廊の下まで続いている。安全上の配慮とかで、1度に入場できる人数に制限があるため、列はなかなか前に進まない。しかも、予約の団体客が優先(まあ予約だから当たり前か)されるので、一般客はその後に余裕があったら入れてもらえる、っていう感じだった。 美術館前の広場には、絵やらサングラスやらスカーフやらを道に広げて売っている人たちがいる。人の流れが絶えないので物売りには絶好の場所なんだけど、やっぱり違法行為らしく、お巡りさんがやってくると、本当にアッという間に道に広げた絵やら商売物を片づけて、知らんぷりしてお巡りさんが通り過ぎるのを待っている。お巡りさんの姿が見えなくなると、またすごい手際の良さで道に商品を広げている。それがもう何度となく繰り返されて、見ていて飽きなかった(苦笑)。 サングラスや時計売りの人は、二つ折りの大きな段ボールに商品をゴム紐で固定しているので、お巡りさんの気配がすると、それをさっとたたんで逃げるんだけど、絵を道に広げてる人は、並べた絵を片方の端からさーーーっとすくい上げていく。お見事。よく見ていると、並べるときも絵の端を少しずつ重ねて、いざというとき片づけやすいように工夫しているのだった。 ま、お巡りさんも、「見つけたら逮捕するぞ」ってわけでもなく、本音と建て前の使い分けといいましょうか(笑)、ビミョーな関係を保ってるようだった。 そんなこんなで待つこと3時間。ようやく美術館に入れた。館内には、日本人の団体客が溢れていた。おかげさまで、いろんな名画の解説を、後ろからこっそり聞かせて頂いた。ありがとう(笑) 絵を見た感想を書くのは難しい。っていうか、評論家じゃないし。まあ言えるのは、やっぱり生で見ると違う、ってことかしら。明暗やら色調やら、印刷では再現しきれない、あるいは強調され過ぎるところがあるのだ、ということを、実物を目の当たりにして実感した。ボッティチェリの「春」にしろ「ヴィーナスの誕生」にしろ、もう何度も見たことがある絵なんだけれど、実物の色合いは、思っていたよりも淡く、渋かったのだもの。 それと、ルーベンスやファンダイク、レンブラントの絵があったのが嬉しかった。好きなので。 45室ある部屋を全部見て回ると、もう閉館時刻がせまっていた。出口のところにあるお土産品売場で、いくつか記念になる物を買い、外に出る。 すっかりお腹が空いていたので、夕食をとることにする。「地球の歩き方」に載っていた、安くて美味しいと評判だという中華料理店に行ってみる。これが大正解。お店の人は中国語とイタリア語ができて、日本語も少し分かるみたい。メニューは日本語も書いてあって、二人用のセットメニューを注文。五目炒飯やら鶏肉のカシューナッツ炒めやらを食べ、お茶を飲んだときは、ようやくちゃんとした食事をしたなーーーって気になった。 お腹も一杯になったので、ドゥオモ広場からヴェッキオ橋の辺りを散策する。 ホテルに戻ると、フロントのおじさんがテレビでサッカーを見ていた。おっ、と思ってのぞき込むと、UEFAチャンピオンズリーグのマンチェスターユナイテッドvsリーズ戦。このホテル、部屋にはテレビがないので、ちょっとフロントのソファに座って一緒にテレビを見させてもらう。おじさんに「プリマ・テンポ(前半)?」と聞くと、そうだと言う。まだどちらも点が入っていなかった。ギグスやスコールズがシュート打つが決まらず、バルテスもよく守って0−0のまま前半終了。あんまり長居してもおじさんに悪いので、ここで部屋に戻ることにする。オヤスミナサイ。ヴォナノッテ! |
ドゥオモのクーポラ「最後の審判」 フィレンツェ駅のホーム | 9/19 | 朝食後、朝8時半から見学できるメディチ家礼拝堂へ。この礼拝堂とサン・ロレンツォ教会は現在大規模な修復工事が行われていて、あちこち足場が組んであり、見学するにはちょっと残念。礼拝堂内部は様々な色彩や模様の石で装飾されており、豪華絢爛。霊廟ではミケランジェロ作の彫刻を見ることができた。 ホテルに戻ってチェックアウトを済ませ、最後にドゥオモ内部を見学することにする。開館時刻の10時前には、すでに長い列が出来ていた。そこに、雨が降りだした。と、昨日広場で絵やスカーフを売っていた人たちが、今度は折り畳み傘を売っている。なんともはや、たくましいことだ。 列の長さのわりには、それほど待たずに堂内に入ることが出来た。内部は意外にシンプルで、天井が高い。クーポラ部分には、やはり短縮図法を駆使した天井画。美しい絵なのだが、よく見ると、日本で言うと地獄絵みたいな部分があって、かなり恐い。天使がラッパを吹き、地上では怪獣が人間を食い殺している。「最後の審判」なんだな。地下には、ドゥオモが建てられる以前の教会の遺構を見ることができるようになっていた。 いよいよ駅に向かう。フィレンツェ中央駅の地下はちょっとした商店街になっていて、インターネットカフェなどもあった。駅構内の自動販売機で、ローマまでのユーロスターの切符を買う。2等の指定席を無事購入できた。これで一安心。売店で生ハムとチーズのサンドイッチと飲み物を買い、11:30発のESで一路ローマへと向かう。 |
すべての道はローマに通ず(続く) |